Just a memory.

ただの記録

汚れても汚れないもの「セッちゃん」大島智子 書評

世界への興味が失われ、合理性や快楽をたよりに生きている人間が、ふとした瞬間に誰かの笑顔を願う。でもたいていその願いは理解されない。願う人間も一時、この願いはなんだったんだろうかと訝しむが、最後には忘れ去てしまう。

だけども、ときどき、その願いが誰かにばれてしまったり、あるいは願いの矛先がお互いに向けられてしまったりする。それは言葉にはならないものであり(言語化された時点で無効になる)、だからこそ勘違いが起こりやすいものであるが、ふと、「もう間違わないのかもしれない」となったとき、世界は新しいステージへと移行するのだ。